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Daily life of pet

2007年02月19日

科学者の端くれ(担当獣医師 ブログ管理人Dr.X)

僕たち獣医師は生体を扱う仕事であるゆえに「科学者」の端くれです。
昨今問題になっているテレビの過剰演出には以前より気になっていることがありました。
理科系の読者にはタイクツな話でしょうが、これだけ「エセ科学」がはびこっていると科学者の端くれとしては愚痴の一つも言いたくなるわけで、、、

070219赤ちょうちん.JPG
今日は居酒屋のカウンターで隣の酔っ払いのオッサンがお店の大将にコムヅカシイ話をしているということで、隣の席で適当に聞いてくださいね。

「大将! あるある大辞典事件 知ってる?
えらいことなってるなぁ!
納豆が持ち上げられたり、たたかれたり、、
この店でも納豆あるやろ?
な~んか、たいへんやねぇ、、
ほんま、テレビは適当なことばっかり言いよるからなぁ、、、、」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・

テレビ番組制作にはお金がかかるため、スポンサーがモノを言うのはしかたがないですが、みなさんご指摘のように「視聴率至上主義」による弊害ってのはあるんでしょうね。
歯切れのいい番組にするために
「・・・である!」
「・・・に効く!」
「・・・が治った!」
のように言い切ってしまったほうが視聴率はよくなるんはわかるんですが、
「科学者」の視点で公に「言い切る」「断言する」というのは、ある一定の基準がいります。

まず、その実験結果が安定して出ること。
つまり、その使用が考えられるどんな状況でも、安定した結果が出せるということが必要です。難しく言いますと「再現性がある」といいます。1回きりの実験で「断言」するなんてのは「ありえなぁ~い」わけです。
特に生き物の仕組みは複雑で「同じ人でも午前中と午後では結果が違う」「♂ではそうだが♀ではちがう」「冬はそうだが、夏はまったく反対」「食後は大丈夫だが空腹時に実験すると・・・」「アングロサクソンには出ない副作用がモンゴロイドには出る」なんてことはザラにあります。

また、その結果があきらかに良い(普通より)というためには、それを試したときの結果と、それを試したこと意外まったく同じ条件の結果(コントロールといいます)の違いをはっきりさせる必要があります。
たいていの場合は結果をなんらかの形で数値化しチョイトばかり複雑な計算をして2つ(本試験とコントロール)の実験結果の「有意差」というのを出すことが多いです。有意差をキッチリ出すためには検体の数がかなり必要です。この有意差があることが統計として結果に違いがあるということになります。

などなどなど、、、、

070219発掘あるある.JPG
また、今回の関西テレビのようにウソはもってのほかですが、テレビは巧みなワザを使って「ウソをつかず」なんとなく「ふ~ん、そうなんや」と思わせてくることがあります。

いわゆる「体にいい」ものを紹介する場合「○○には△△に効くといわれる×××を含んでいるので・・・・・・体にいいんや!!」という表現がメチャクチャ多く使われます。
科学者としては「じゃあ、その結果を出した実験は×××をどのぐらいの量でどんなふうに何人に投与して、どれぐらいの期間続けた結果、△△の症状がどれくらい改善して、どれくらい続いたんや? ほんでもって○○には×××がどれくらい含まれていて、×××の吸収を邪魔するような成分は含まれてないんか? ×××は過剰に摂取することで問題はないんか??」等々々々々と聞きたくなるわけです。
ただ単純に、ある物質が「含まれている」だけでは、その効果というのは期待できないですし、安全性にも疑問があることもあります。
だいたいもって「体にいい」っていう表現自体が「どこにどういいんや!?」なんですが。

はたまた、古典的な「三段論法」というのもよく耳にします。
1段目 スイス人1人あたりのチョコレートの消費は日本の6倍
2段目 スイス人の胃がんによる死亡者は日本の4分の1
3段目 だからチョコレートは胃がんの発生をおさえる!
これだけの説明でチョコレートが胃がんの発生をおさえると結論を出すには無理があります。
スイスと日本の違いはチョコレートだけかいな!?と言いたいのです。
上の説明だけでは
1段目 日本人1人あたりの魚介類の消費はスイスの5倍
2段目 スイス人の胃がんによる死亡者は日本の4分の1
3段目 だからシーフードには発がん性がある!!
みたいな無茶苦茶な論理も成り立ってしまうのです。もちろん、そんなことはありません。
注)そのほかの膨大なデータからチョコレートは胃がんの発生を抑える効果があるのではといわれているのは事実です。あくまでも説明のしかたに問題があるという話です。念のため、、、
たとえが悪かったかなぁ? まあいいや、

それから数字のマジックというのがありますね。
たとえば、これはテレビではありませんが代表的なのが「100%ジュース」です。
市販されている多くのの100%ジュースは濃縮還元という形です。
原料輸送時に脱水して体積と重量を小さくし、パッケージのときに還元するという、輸送のコストを下げるための手段らしいです。また、輸送時の濃ぉ~いジュースは細菌などの繁殖を抑える効果もあります。
070219濃縮還元.JPG
たとえば、ご自分でオレンジをすりおろして、絞りたて混ざり物ナシのオレンジジュースを作って、これを半分の量に煮つめて(濃縮)200%のジュースにして、同じ量の水やミルク、カラメル、、、、、を混ぜれば(還元)、計算上の100%オレンジジュースを作ることができます。
100%ジュースが多く販売されていますが、体にいいものなら濃縮還元して150%ジュースや220%ジュースを作ればいいのに「100%のイメージ」のためにめったにお目にかかりません。別に悪いことじゃあないんですけどね(^^ゞ
「100%」=「混ざりものナシ!」みたいなイメージやこだわりが消費者にあって、やはり「売れる」んでしょうね。これはまさしく数字のマジックです。
ちなみに、「絞りたて」は「濃縮還元」じゃあなく「ストレート」と表示されています。

他の数字の話では、テレビはよくグラフを使いますが、パッと見てパッとわかるグラフの感覚的な利点をうまく使って「いかにも、、、」というグラフをよく目にします。
下のグラフを見てください。A子さんとB子さんの体重変化です。

A子さん.bmp B子さん.bmp

もうお分かりですね(b^-゜)
2人の体重変化はほとんど同じです。
注)無茶な減量は体に毒です
こんなに露骨なことはしないまでも、いかにもうまい結果が出たというふうにグラフ見せる方法はたくさんあります。縦の目盛(上のグラフでは㎏)をうまく調節して、いかにも「減った!」とか、いかにも「多い!」といったグラフをよく見かけます。グラフを読むコツは折れ線や帯を見る前に「目盛」をよく見ることです。特に縦の目盛をよく見てください。
まあ、テレビではさっと画面から消えてしまうので、見抜くのはタイヘンですが。

科学が万能でないことも頭に入れておかないといけませんね。
科学はデータをデジタル化(もしくは数値化)して物事を考える傾向があります。法則性を見出すために数値と数値の間に隠されたアナログな部分を切り捨てて考える傾向があるので注意が必要です。
B子さんの場合、グラフだけを見ると1月10日から3ヶ月かけてあたかも順調に減量したかのように見えますが、
「最初の20日で一気に56kgにやせたあとリバウンドで40日目に62kgになる。なんとか頑張って60日目にやっと60kgまで落としたのに気が緩み、あげくに70日目に友達の結婚式があり披露宴と2次会で暴食して65kgに逆戻り、4月10日の検量がせまり、あせって3日間絶食した」結果かもしれないのです。
えらい話になりましたね(^^ゞ
デジタルのすきまをこぼれ落ちていく大切なものも沢山あることを覚えておかなくてはいけません。

実験結果がどんなにいいものであっても「最初にデータを数値化する段階」で無理がある場合もよくあります。「味」「におい」「体にいい」なんか数字にするんはかなり無理があるように思いますよねぇ。それでも科学は数値化するんです。
「体にいい物質Aの含有量の変化を見てみましょう」とかいうやつです。さっきの話じゃあないですが、最初の数値化の段階で「Aの含有量」=「体に対する良さ」というのが曖昧な仮定だったりすると、その後の実験結果が統計的にすばらしいものでも、結果は曖昧なものだといえます。


情報というのは伝え方次第でどのようにも伝わるものです。
それが意図して捻じ曲げたものであっても、実験者本人や伝達者本人が数字や情報に振り回されて(だまされて?)いたとしてもです。
われわれ獣医師も科学者として動物の状態を飼い主様に説明するとき十分肝に命じなければなりません。

・・
・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
あ~かなり酔いが回ってきたぁ、、、ヽ(´▽`)ノ

070219カウンター.JPG
「すんませんなぁ~お隣さん、、、コムツカシイ話でうるさかったでっしゃろぉ~?? いやぁね、テレビを見るときはねぇ、見る側もカシコクなきゃあいかん!ということを言いたいわけですわぁ、、」

「大将!お隣さんにビール1本つけたげて!・・・・・・・いやいや、うだうだ話でやかましぃしたお詫びですわ・・・・それからツクネとぉ、、冷や奴ちょうだい。」

「まあ、かといってテレビ見るのにそんなに眉間にシワを寄せる必要もないですかねぇ、、、。スーパーから納豆が無くなったんも、主婦のみなさんが普段から「今日のご飯なんにしょ??」と悩んでるときに天から「納豆は体にええよ」と聞こえただけの話かもしれませんなぁ、、、、」

今日も居酒屋「山ちゃん」の夜は更けていく、、、

投稿者 yoshidaac : 2007年02月19日 11:12

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コメント

もし居酒屋で私が横にすわっとぃたら 上のグラフのA子さんのように急激に 小さくなっていたかもしれません。あるあるが始まって以来 疑う事無く何かと挑戦してきてましたから・・・・・・・無知ゆえの・・・ 恥ずかしい行動ですよね。はあ~ 『どうかもう騙されません様に』と 願いながら他局の健康番組見てる私です。
あっ でももし私が 本当に横に座ってて ビールなんか頂いたりしてたら 健康管理はそっちのけで 飲むは食べるはの大はしゃぎしてたかも。
これまたA子さんとおんなじで リバッてますね。

投稿者 元あるある崇拝者 : 2007年02月22日 21:19

元あるある崇拝者さん
コメントありがとうございます。

このブログみたいに、気ままに書きたいときに書きたいだけ書くんじゃなくて、決まった時間で有用な情報を伝えるという点で「あるある・・」の制作もたいへんやったでしょうね。
おもしい番組やったのに、、、

テレビ、新聞、雑誌などの媒体だけでなく、ネット上にも膨大な情報があふれています。
どこに情報の本質があるのか、個人個人が見極めなければならない
やっかいな時代になったものです、、、

投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年02月23日 12:00

科学的な分析や効果、結果も「真実」や「本質」を
目に見える形できちんと示すことは難しいですよね。
クスリや食べるものでいえば、そもそも人で試すことも出来なくて、
「それに近い実験」での繰り返した結果だったり、
「数字の上」「理論の上」では良い結果だったりって事も・・・。
それでも 曖昧だからこそ「コレで良い」と言えたり、
「これでは駄目だ」と言えたりする部分もあるんじゃないかと思ってみたりもします。

・・・・・。
例の番組でもそうですが、健康志向だとか言って
「身体にコレが良い!」とか言っては お店からなくなったりしますが、
いつも思うことは・・・(--;
動物の食事でも、人間の食べるものでもそうですが、
なんでも「良い」って言われたものだけをとることが
「良い」訳じゃないはず。
何事もバランス。
少し違うけど、「身体に良い」を実践するために、
パーフェクトにサプリメントで栄養を完璧に保っても、
口から噛んで 何ら食事を摂取しなければ、
身体に良くても自律神経を壊してしまうように。
「良いもの」だけがかたよれば、それもまたどうなのかと。
・・・そう思ってサラッと見れば、
情報や番組を見てるほうも そんなに熱くならないで良いのかも?って
思ってみたりもするのです。
拾う情報も、行う結果もバランスよく判断する・・・。

なぁんて、お隣に座っている私が背丈153cm、重さ36kg
なんてバランスの悪さでは説得力がありませんか?!
(´・ω・):;*。'(笑
私もすっかりクダ巻いてしまいました(^^;
・・・って、お酒飲めないんだった・・・(笑

投稿者 紫苑 : 2007年02月25日 07:58

紫苑さん
コメントありがとうございます

実生活で曖昧なことが多いため
白黒はっきりさせる「アメリカ的」なスカッとした発想に、ついココロを奪われますが、東洋的な混沌を混沌のまま受け入れてしまう能力ってのも必要なんでしょうね。
そうやって時は流れていくのです。

今日は哲学的?にしました(^^ゞ


投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年02月25日 09:12

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