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Daily life of pet

2009年02月12日

抗がん剤治療 その3(ブログ管理人 Dr.X)

前回までに
吉田動物病院の悪性腫瘍に対する考え
診断のための検査について
お話してきました

今日は治療についてお話します。
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.

実際「診断」と「治療」はクッキリと分かれたものではなく、手術などは治療と診断を兼ねることが多くなりますし、治療経過によって検査検討を加えていくことが多くあります。

治療には「手術」「抗がん剤治療」「放射線療法」「サプリメント」「免疫療法」などがあげられます。

【手術】
悪性リンパ腫などの一部の腫瘍や、既に全身に多数の転移を伴っているケースを除き、多くの腫瘍では手術による腫瘍切除は非常に有効な治療になります。

メリットは
・腫瘍細胞がそのできものに限定していれば、体の中からほとんどの腫瘍細胞を短時間で取り除け、良性の腫瘍では決定的な治療になります。
・切除部位以外に腫瘍細胞が存在していたとしても、体の中の腫瘍細胞の数を大幅に減少できるので、一時的であっても腫瘍の勢いを抑えることが期待できる
・切除した生体組織で病理学的診断が確定的になる
・腫瘍が横取りをしていた空間を取り戻せる
・腫瘍は多くの有害な物質を放出しているので、それを大幅に減らすことができる
・腫瘍組織はもろいことが多く、つぶれるたり、やぶれたりすることによる出血、ショックなどの障害を治療または予防できる

デメリットは
・麻酔に関するリスク
・出血に関するリスク
・周りの重要な臓器を傷つけるリスク
・目に見えない細かい腫瘍細胞は対象外

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【抗がん剤治療】
以前にくらべ薬の使い方が洗練されてきたため、腫瘍の種類によってはかなり効果的な結果が得られるようになってきました。また副作用についても多くの動物ではかなり限定的なものに感じられます。

メリットは
・肉眼では見えない腫瘍細胞まで治療できる
・悪性リンパ腫などでは最も有効な治療法になる
・ほとんどの動物で手術や放射線治療のような麻酔を必要としない
・多くの抗がん剤があり、その子の状況に応じて「種類」「投与量」「投与間隔」などを調節しながら投与できる

デメリットは
・副作用と相談しながらの治療になるため、定期的な検査は欠かせない。
・ほとんどで長期の投与が必要(数ヶ月~数年)
・腫瘍の種類や患者によって効果にばらつきがある

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【放射線療法】
ある種の放射線は腫瘍細胞が悪性であるほど強く障害をあたえる特徴があります。
この特性を利用したのが放射線療法です。

メリットは
・手術で切除不可能な場所でも治療できる
・手術で腫瘍をすべて切除できなかった、もしくはその可能性がある場合に、残された腫瘍細胞に対し治療ができる
・抗がん剤のように全身ではなく一部分に集中して治療できる

デメリットは
・放射線の通過する健康な部分にも障害が出てしまう
・麻酔が必要
・通常複数回の照射が必要
・特別な施設が必要で日本でも数ヶ所しか利用できません。残念ながら当院にも放射線治療施設はありませんので、ご紹介のうえでの治療になります。


【サプリメント】
きのこ類や深海鮫軟骨などから抽出された物質の抗癌作用について研究が進んでいます
抗癌作用についてはまだまだ研究段階ですが、サプリメントのメリットは副作用の心配が極めて小さいことです。
積極的な治療を選択されなかった飼い主様にも受け入れやすいと思います。
動物用に製品化されたものも多くありますが、法規制がとどきにくい製品であるため使用にあたっては必ず獣医師にご相談ください。
当院も動物用サプリメントを取り扱っています。

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【免疫療法】
近年、注目されてきた治療法です。
腫瘍細胞は健康な体でも次々と発生し、その暴走しかけた細胞を体の免疫がくまなく発見排除しているので健康が維持されているという考え方にもとづく治療法です。
この免疫力を担っている一部の白血球や抗体とよばれる物質を体の中に増やしてあげる治療を免疫療法といいます。
広い意味ではサプリメントも免疫細胞を刺激する免疫治療になります。
まだまだ開発中の治療法で、
患者の免疫細胞を取り出し体外で活性化して投与する方法や、
患者から切除した腫瘍細胞から免疫を刺激する抗体を作り出して投与する方法や、
癌を攻撃すると考えられる細胞や抗体を生体内で持続的に作るように教え込む方法(癌ワクチン)など
多くの実験的治療が試みられ、効果が認められたという報告が多く出てきています。
今後、主力の治療法となるかもしれません。
当院ではまだ経験の浅い方法です。

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以上、3回にわたり悪性腫瘍について話させていただきました。
デリケートな問題なので、ブログにする上で非常に神経を使ったつもりです。
多くの方々が多くの考え方を持っておられるので、あくまでも「吉田動物病院の考え」としてお読みいただければ幸いです。
説明はあくまでも一般論にとどめています。個々の動物に関しては飼い主様と獣医師の話し合いの上に診断治療を進めていくことは言うまでもありません。

悪性腫瘍 → 死 → 何をやってもしかたがない
手術 → 痛い → やらない
抗癌剤 → 怖い → やらない

と、短絡的に考えるのではなく、辛くても腫瘍に侵されているかもしれないその子の体に何が起きているかを出来る限りつぶさに見つめていき、飼い主様と獣医師が話し合い、「できること」をひとつひとつ選択していくというのが理想ではないかと思っています。
もちろん十分ご考慮されたうえで飼い主様が積極的な治療を希望されないというお考えであれば、その御決断は尊重すべきと考えています。

悪性腫瘍の治療に積極的に取り組むようになって、いろんな感想を持っています。
非常に残念なことですが、多くの患者さんは死の転帰をとられます。
しかしながら飼い主様と獣医師が協力して「その子らしい時間」を少しでも多く過ごさせてあげられるかが非常に大切だと感じています。

そして、ご自分のできる目一杯の治療を選択され、
迷いながらも最後まで治療をされた飼い主様が
わが子の最後のときをお迎えになられたとき、
悲しみ中に

「できることは すべてしてあげた」

という
深く悲しいことなのだけれども、、
獣医師の勝手な思いかもしれませんけれども、、
ある種の充足感に満ちたご表情が垣間見られることを
獣医師として励みに思っています。

投稿者 yoshidaac : 2009年02月12日 10:29

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