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« Dr.Xの独り言 椎間板ヘルニア1(担当獣医師 ブログ管理人Dr.X) | メイン | ☆3まるアニバーサリー☆(担当VT 山村) »
今回は実際にご自身のワンちゃんが椎間板ヘルニアと診断された場合、特に麻痺が顕著にみられるケースで、知識として持っておられたほうがいいのでは、と思うところを述べていきたいと思います。
☆犬の椎間板ヘルニアのキーポイント☆
【ポイントA;グレード】
治療は症状の「ひどさ(グレード)」によって変わってきます。いくつかのグレード分けが提唱されていますが、飼い主様でも判定できそうなものを紹介します
グレード1;知覚過敏のみ
グレード2;脚のふらつきはあるが歩ける
グレード3;脚を「意識して」動かせるが補助なしでは歩けない(ひきずる)
グレード4;脚を「意識して」動かせないが、足先をつねると痛みを「認識」できる
グレード5;脚を「意識して」動かせないし、足先をつねっても痛みを「認識」できない(反射で脚をひっこめることがありますが、患者自身が痛みを「認識」していない。表情で判断する。)
グレードを何らかの検査で数値化できればいいのですが、実際は獣医師(判定する人)の主観が介入することは避けられないのが現状です。
一般的には意識しての排尿はグレード3あたりを境にできなくなります
~~各グレードに対する一般的な考え方~~
グレード1~2
手術を行わず最低2週間の安静を行います。
2週間という期間は壊れた椎間板が修復にかかる通常の時間と考えてください。よって、痛みがなくてもこの期間に運動量を増やすと、さらなる重度のヘルニアがおきることがあります。
その後は症状に合わせて運動量を検討していきます。
痛みを伴う場合は鎮痛剤を使います。
悪化がある場合は手術が適応となります。
グレード3~5
手術が治療の一般的選択となります。
前回にお話した。脊髄神経の通っているトンネルに穴を開けて、圧力を減らし、可能な限り飛び出した椎間板を除去する方法が一般的です。
今、手元にある資料では(様々な研究で様々な結果が出ていますが、、、、)
グレード3と4では
約90%で手術に反応して症状の軽減が見られます。
約70%がお薬による治療に反応して症状の軽減が見られます。
グレード5では
約50%が手術に反応して症状の軽減が見られます。
お薬のみによる治療では反応が見られるのは5%以下です。
と、なっています。
この資料で言う「反応」はあくまでも「少しでも良化する」ということで、完全に回復するというものではありません。最低「なんとか歩ける」「なんとか随意排尿できる」ぐらいのニュアンスで考えていいと思います。もちろん完全に回復するケースも含まれています。
また最近では後に述べる新しい薬も出てきていますので、薬による治療成績も少し上がっているかもしれません。
【ポイントB;脊髄軟化症】
椎間板ヘルニアには「脊髄軟化症」という厄介な問題が付きまといます。
くわしいメカニズムは未だに不明ですが、椎間板の脱出により衝撃をうけた脊髄神経が部分的に死んでしまい、その前後の神経組織にどんどんその症状が伝染していくという問題で、その広がりは通常止まりません。グレードの高い椎間板ヘルニアの数パーセントで発症します。頭側にも「神経の死」が伝わっていくため、生命の維持にかかわる部分も侵されてしまいほとんどの患者は死にいたります。多くの場合は数日以内に死亡されます。
MRI検査が今のところその診断方法になりますが、まだ確定的な診断方法に至っていません。手術中に肉眼で神経を見ても判断できないことが多くあります。いかなる治療にも反応しない問題のため、不幸にも手術後に死亡されるということも経験いたします。
吉田動物病院では時間的な問題もあり飼い主様の特別なリクエストが無い場合はCT検査のみで手術に入りますが、状況によってはMRI検査を施設に依頼する場合があります。
【ポイントC;再発】
この病気の多くは「軟骨異栄養性」という問題をかかえた犬種(ダックスフンド、ビーグル、ペキニーズ、コーギー、コッカスパニエル、シーズー、トイプードルなど)に発生します。体質ととらえていただいても結構です。よって、お薬による治療、手術による治療を施しても、同じ部位(お薬)もしくは別の部位(お薬、手術)での再発がみられることがあります。
【ポイントD;手術までの時間】
以前は発症後48時間以内に手術をしないと治らない。
といった話が聞かれましたが、今では48時間という数字には大きな意味はないと認識されています。しかしながら、早いタイミングでの手術の方が早く神経を圧迫から開放してあげることができるため、状況が許せばなるだけ早く手術をしたほうがいいことに変わりはありません。
ここでもう一つ考えておく問題が上に述べた「脊髄軟化症」です。軟化症に陥ったワンちゃんは麻痺が広がり且つ悪化します。24時間ほどで、これを見極めてから手術に入るというのも一つの考え方です。
【ポイントE;新しい治療法】
最近になって人の急性肺障害に利用されている「好中球エラスターゼ阻害剤」という薬が犬の椎間板ヘルニアの治療薬として注目されてきています。
人の急性肺障害の悪化するメカニズムと椎間板ヘルニアにおける神経障害が似ていることから発想された治療法です。効果があったという報告は散在しますが、まだまだ情報が少なく実際のどれくらいの効果があるのか規模の大きい統計はとられていません。投与方法や副作用についてもまだ深く考察されていませんが、手術を選択されないケースの代替治療として期待されています。
当院でも手術を選択されないケースなど使用していますが、効果について使用しなかったケースとくらべるのに十分な症例数をこなせていないのが現状です。今のところ副作用らしいものは観察していません。
また、これまで哺乳類の中枢神経は再生しないというのが定説でしたが、いろいろな方法で自身の細胞を万能細胞として増殖させて患部に注入する「再生医療」技術が進歩してきています。実験的な段階ではありますが、犬や猫で大きく損傷した脊髄に対して再生医療が試みられています。
【ポイントF;回復がおもわしくない、、、、】
期待どおりの回復が得られない場合もあります。そのときは飼い主様の負担となるのが「排泄」です。
「歩けない」特に多くの場合の「小型犬で後ろ足のみの麻痺」であれば、かわいそうなことではありますがペットとして生きていくことは十分可能です。しかしながら「自力で排泄ができない」ことは自身や飼い主様にとって負担になるケースがあります。大型犬であればなおさらです。その子の状況に応じて対処方法があるはずです。動物病院やご経験のある飼い主様にアドバイスを求めるといいでしょう。
処置後2週間あたりでおおよその回復状態が予測できます。1ヶ月もたてばかなりハッキリしてきます。残酷なようですが、その段階で良好な回復が見られない場合は、飼い主様として気持ちを切り替えて「今のその子の状態」でどうやって楽しい日々をおくるかというお気持ちでケアを続けられることをお勧めします。これからの具体的な「日々の排泄」の方法を考えたり、車椅子を検討したり、毎日の日課を再検討したりするわけです。もちろんその後もユックリとした回復は期待できるので、回復への努力を続けることを否定するわけではありません。「しかめっ面」をした努力から「笑顔」での努力にシフトチェンジするタイミングがそのあたりではないかと考えます。
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椎間板ヘルニアの治療は、手術が成功しても、治療としては半ばです。手術後のリハビリなど、飼い主様、患者、獣医師が協力して初めて良好な回復が期待できます。
また、残念なことに治療に良好な反応が得られなかった場合、その子と有意義な日々を送るためにも飼い主様、患者、獣医師の協力と忍耐強いケアが必要になってきます。
そうなるまえに予防。
軟骨異栄養性犬種とされるダックスフンド、ビーグル、ペキニーズ、コーギー、コッカスパニエル、シーズー、トイプードルたちには危険因子である肥満に対して十分警戒し、普段から飛び上り、飛び降りのない生活スタイルや、滑りやすい床などを避けるよう心がけたほうがよいと思われます。
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と、まぁマトモなお話も
たまには書かないといけないなぁ
と、反省しているDr.Xなのでした
投稿者 yoshidaac : 2009年09月06日 10:26
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