Daily life of pet

2007年10月12日

犬の去勢手術(担当獣医師 ブログ管理人Dr.X)

前回、こぶぅの去勢の話をしましたが、
具体的に去勢手術(精巣切除、下品に言うと「キンタマの切り取り」です。じゃりん子チエちゃんちの小鉄に頼んだら無麻酔一瞬ですね、、)の解説をします。
071011小動物外科手術(LLL.Seminarより).JPG
「小動物外科手術 著/Theresa Fossum他 訳/作野幸孝」LLL.Seminarより

これより先は「血に弱い人」はキツイかもしれません。
自信のない方は↓をクリックしないでください。

手順としては、
麻酔前の血液検査をして、問題なければ全身麻酔をかけます。
麻酔は鎮痛剤・鎮静剤などの注射→短時間の注射麻酔→吸入麻酔のために気管の中に挿入する管(気管内チューブ)を挿入→吸入麻酔を維持→各種麻酔モニターの順で導入します。
点滴を始め、手術部(陰嚢の前、下品に言うと「玉袋の前」)の毛刈り消毒しっかりします。

ここで手術台に移り、最後の消毒をします。
消毒が終了したら、ここから無菌手続き(手洗い、手袋、帽子、マスク、ガウン)をほどこした術者の登場となります。
滅菌した覆い布で術野を残して動物を覆います。

①まず、皮膚切開です。
 陰嚢(ふぐり)の前の正中に1カ所切開をいれます。
 (猫の場合は陰嚢に直接それぞれの精巣の上に2ヶ所切開します)
01皮膚切開071012.JPG

②精巣を引き出します。
  精巣を包んでいる鞘を切開し血管と精管でつながれている精巣を片方引き出します。
02精巣(左071011.JPG

③血管と精管の結紮
  切断後に出血しないように、血管と精管を吸収性縫合糸で結紮(縛る)します。
04結紮071011.JPG

④切断
  精巣側から血液の噴出がないように鉗子(かんし)で挟んだ後、結紮部分と鉗子の間を切断します。
06切除071011.JPG

⑤反対側も同様に、
  反対側の精巣も同様に切除し、皮膚を縫合します。
07左右精巣071011.JPG

術後は、吸入麻酔を切り、ゆっくり覚醒させます。
ご自宅での処置はほとんどありません。
10日後に抜糸します。

病院や先生によって若干の手技の違いはありますが、おおよそこのような処置となります。
♀の避妊と比べると、手術時間も短く、動物に与えるストレスも少ないですね。

たまには獣医学的な話(基本的な話ですが・・・)もするボクなのでした、、、、


投稿者 yoshidaac : 2007年10月12日 11:41

コメント

じゃりん子チエだなんて・・・Σ(・ω・ノ)ノ!
あまりに久しぶりに聞いて懐かしくなりました^^;
・・・歳バレますね(笑

オペの事などは やはり現実に写真のあるほうが良く解りますね。
切開の傷、出血が思っている以上に小さく少なくで驚きました。
デリケートなことなので、けして簡単な手術なんて無いと思いますが、
思ってるよりは、動物さんに負担の少ないことなのかも・・・
と思いました(^^)
・・・女の子は別ですが・・・(苦笑)

投稿者 紫苑 : 2007年10月15日 03:26

紫苑さん
コメントありがとうございます

写真掲載については少し迷いました。
僕が「若手」獣医師だったころは
デジカメが普及してなかったですから、
手術当日に写真をお見せしながら飼い主様に説明するなんて考えられませんでした。
写真を撮るのは主に勉強のためだったり、
珍しい症例や新しい手術法の時だったり、
学術的な意味合いが多かったです。

飼い主様に手術写真をお見せしながら説明することが増えて
「以外とみなさん抵抗が無いねんな」
というのが最近の感想で、
それなら、と掲載しました。
もちろん抵抗のある方もいらっしゃるはずですから
そのへんの配慮も忘れないようにしたいです。

投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年10月15日 08:22

こんにちは。
初めて先生のHP、ブログ拝見しました。
私が家にも愛犬がおりまして、
調べ物をしていて先生のHPに偶然辿り着きました。

というのは、我が家の愛犬は去年、去勢手術をしたのですが、
その際に使用してお腹の中に残したという絹糸が原因で
無菌性脂肪織炎(縫合糸反応性肉芽腫) を起こしてしまいました。

今年になって別の病院で再手術を行い絹糸2個を摘出したのですが、
また最近になって肉芽腫?と思われる兆候が出てきています。

そこで、最初の去勢手術をして頂いた病院の先生に、
去勢手術の際にいくつの絹糸を残してきたのかと
聞いてみたところ6個ということでした・・・。
(精管と血管と??を絹糸で結紮したそうです。
??の部位名は残念ながら忘れてしまいました・・・。)

ということは、まだ4個も絹糸がお腹に残っているそうです。
通常は2箇所もしくは4箇所を結紮すると
聞いたことがありましたが、まさか6箇所とは・・・。

あと4個もお腹に・・・。
また手術もありえるかと思うと、
愛犬に本当に申し訳無く反省の日々です・・・。

手術をする前に先生のブログなどに出会って
もっといろいろ愛犬に受けさせる手術について
勉強していれば良かったと後悔しています。

長々と大変失礼しましたが、
先生のようにオープンに情報を公開して下さる先生に
飼い主としては安心しますし、感謝致します。

投稿者 スパイ : 2007年10月23日 18:42

追伸

先程、コメントをさせて頂きました”スパイ”です。
うっかりメールアドレスを入力してしまい、
メールアドレスが公開されてしまいました。
お手数をおかけしますが、
コメントを削除して頂けると大変助かります。
申し訳ございませんが、どうぞ宜しくお願い致します。

投稿者 スパイ : 2007年10月23日 21:44

スパイさん
コメントありがとうございます。

「愛犬」君たいへんですね。
でも、命に関わるような問題でなくて不幸中の幸いでしたね。
これから大きな問題にならないようお祈り申し上げます。
僕たちの使っている糸でも同じような問題が起きることはあります。
イイワケのようですが、やはり100%問題のおこらない方法はありません。僕たちは限りなくそこに近づけるように、コストを含めて手術材料や手技を極めていかなくてはいけませんね。
コメントを読ませていただいて、
僕たちもそのような問題が起こりうることをしっかり飼い主様に前もってお話をしないといけないと反省しています。
大切な家族をお預かりする身として、限られた時間でどれだけの情報をお伝えできるか。
以前にもこのブログでお話しましたが、
治療にも増して重要な僕たちの仕事だと思います。

投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年10月23日 21:45

スパイさん
メールアドレスを削除する形で対応させていただきましたが
これでよろしいでしょうか?
コメントそのものの削除をご希望されるのであれば、
また、コメントお願いいたします。

投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年10月24日 12:09

はじめまして。
うちの子も今度去勢手術をすることになりました。

それで、どうしもて納得できないことがあり、
ネットで色々調べていたら、ここへ辿り着きました。

その疑問と申しますのは、分かりやすく言うと、オスは
2つのタマタマがあるわけですが、
どちらかが精子を生産するもので、もう片方はしない方だと
聞いたことがあるのですが、

だとすれば、

去勢手術の場合、精子を生産する方の玉だけを取り除くのが
ベストだと思うのですが、
両玉とらないといけないものなのでしょうか??

実際に方玉だけ取り除く例もありますか?
もしお分かりになられたら教えてください。

宜しくお願いします。

投稿者 リタママ : 2007年10月28日 22:01

リタママさん
コメントありがとうございます

タマタマ(精巣)は両方とも精子を産生します。
よって、去勢手術は両方のタマタマと切除することとなります。
どこから、そんな情報が出てきたかんかな?
と、考えました。
おそらく話の出所は「片側陰睾」(停留精巣などいろんな呼び方をされます)からではないでしょうか?
「片側陰睾」とは、片側の睾丸(精巣)が陰嚢(タマタマの袋)に下りてこない状態をいいます。
この場合、下りてこない睾丸では正常な精子産生が行われないことが多くなります。
その場合の去勢手術でも通常は両側切除となります。
おそらく、このあたりの話がネットや人づてに渡り歩くうちにリタママさんがおっしゃるようなお話に変化していったのではないでしょうか?
少し話が長くなるので「片側陰睾」についてブログをアップしようと思いますので、しばらくお待ちくださいm(__)m

投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年10月30日 08:12