Daily life of pet

2007年11月19日

高齢犬の夜鳴き(担当獣医師 ブログ管理人Dr.X)

「犬の睡眠薬が欲しいんですけど、、、」と
目の下に“くま”をつくった飼い主様が来院されることがあります。
認知症犬顔.gif
事情をお聞きすると
「もう年寄り犬なんですけどね、夜になるとずぅ~~っと鳴いてるんです。ご近所に迷惑になるんで、鳴きだしたら怒りにいくんですけど、しばらくしたらまた“わぉぉぉ~ん わぉぉぉぉ~~ん”って鳴きだすんですよ。私たちにも生活がありますし、まいってしまいました。」
というような感じです。

犬の高齢化現象が進むとともに、老齢に伴う疾患が重大な問題になってきています。
中でも飼い主様の日常生活に多大な影響を与える問題が犬の認知症による「深夜の夜鳴き」です。

認知症の症状にはいくつかのパターンがあります。
多くの子は複合的にいくつものパターンを示すことが多いようです。

①方向感覚障害
……いつもの道や家の中で迷子になったり、行き詰ったりする

②相互関係障害
……飼い主さんや仲のよい子と遊ばなくなる。
……愛情を要求しなくなったり、過剰に要求したりする。
……苛つくことが多くなる。  等

③睡眠覚醒障害
……日中の睡眠が多くなり、夜間の徘徊や夜鳴きが増加する。

④しつけ障害
……排泄の失敗。
……号令に対する反応の低下。  等

⑤活動性障害
……活動量の低下。
……グルーミングの低下。(同じ場所を舐め続けるような「常同的」な行動は増加傾向)
……散歩中の探し回るような行動の低下。
……無目的にみえる徘徊。
  
などが認知症の症状としてあげられます。
そして、この中でも③の「睡眠覚醒障害」が飼い主様をもっとも追い込む問題になることが多く思います。
いくつかの犬の認知症スコア(認知症点数)が提唱されていますので、そのうちの一つを紹介しておきます。10歳をこえるワンちゃんで「最近、年とってきたな~」と感じられるなら一度点数をつけてみてください。


犬の認知症スコア(合計31点以上の場合は認知症と判断し、対策を強く考え始める指標になります)
 
質問1. 食欲・下痢
 ① 正常                                             1点
 ② 異常に食べるが下痢もする                                2点
 ③ 異常に食べて、下痢をしたりしなかったりする                     5点
 ④ 異常に食べるがほとんど下痢をしない                         7点
 ⑤ 異常に何をどれだけ食べても下痢をしない                       9点

質問2. 生活リズム
 ① 正常(昼は起きていて夜は眠る)                                     1点
 ② 昼の活動が少なくなり、夜も昼も眠る                                   2点
 ③ 昼も夜も眠っていることが多くなった                                   3点
 ④ 昼は食事時以外はぐっすり眠り、夜中や明け方に突然起きて動き回る。制止がある程度可能 4点
 ⑤ ④の状態を人が制止することが不可能な状態                              5点

質問3. あとずさり行動や方向転換
 ① 正常                                                1点
 ② 狭いところに入りたがり、進めなくなると何とか後ずさりする               3点
 ③ 狭いところに入ると全く後ずさりできない                           6点
 ④ ③の状態で、部屋の直角コーナーでひっかかるが、なんとか方向転換できる    10点
 ⑤ ③の状態で、部屋の直角コーナーでひっかかって方向転換できない         15点

質問4. 歩行状態
 ① 正常                                               1点
 ② きまった方向(斜め)にふらふら歩き、まっすぐ歩けない                3点
 ③ きまった方向にのみふらふら歩き、旋回運動(大きく円を描くように)になる     5点
 ④ 旋回運動(小さめの円)しかできない                            7点
 ⑤ その場でグルグルまわるだけ                                9点

質問5. 排泄状態
 ① 正常                                         1点
 ② 排泄場所を時々間違える                             2点
 ③ 所構わず排泄する                                3点
 ④ 失禁する                                      4点
 ⑤ 寝ていても排泄してしまう(垂れ流し状態)                   5点

質問6. 感覚異常
 ① 正常                                             1点
 ② 視力が低下し、耳も遠くなっている                           2点
 ③ 視力・聴力が明らかに低下し、臭いを気にする                    3点
 ④ 耳がほとんど聞こえなくなり、さらに臭いを気にする                 4点
 ⑤ 臭覚のみが異常に過敏になっている                          6点

質問7. 起立姿勢
 ① 正常                                                  1点
 ② 若い頃より尾と頭部が下がっているが、ほぼ正常の起立姿勢をとることができる    2点
 ③ 尾と頭部が下がり、起立できるがアンバランスでふらふらする               3点
 ④ 長時間ぼーっと起立していることがある                             5点
 ⑥ 異常な姿勢で寝ていることがある                                 点

質問8. 鳴き声
 ① 正常                                                  1点
 ② 鳴き声が単調になる                                         3点
 ③ 鳴き声が単調で、声がより大きくなる                               7点
 ④ 真夜中から明け方の決まった時間に突然鳴き出すが、ある程度制止ができる      8点
 ⑤ ④と同様であたかもそこに何かがいるように鳴き出し、まったく制止できない       17点

質問9. 感情表現
 ① 正常                                                 1点
 ② 他人および動物にたいして、何となく反応がにぶい                     3点
 ③ 他人および動物にたいして反応しない 飼い主には正常に反応する          5点
 ④ ③の状態で飼い主にのみかろうじて反応を示す                      10点
 ⑤ ③の状態で飼い主にも全く反応がない                           15点

質問10. 学習した行動(「お手」「待て」など)・習慣行動(おしっこは決まった場所で、、など)
 ① 正常                                                   1点
 ② 学習した行動あるいは習慣的行動がたまにできなくなる                    3点
 ③ 学習した行動の一部あるいは習慣的行動の一部がずっとできなくなっている       6点
 ④ 学習した行動あるいは習慣的行動がほとんどできなくなっている              10点
 ⑤ 学習した行動あるいは習慣的行動がすべてできなくなっている               12点


                                                  合計    点

診断としては31点以上に認知症が疑われますが、11点以上あれば初期対策を始めたほうがいいでしょうね。
次回は、対策についてお話しようと思います。

投稿者 yoshidaac : 2007年11月19日 18:12

コメント

今の住宅状況だと、ワンコの夜鳴きは大変な問題になってしまいますね。
夜吠え続けるワンコも、体力消耗してしまいそうです。
認知症や病気に早く気がついてあげられるように普段からしっかりスキンシップしておきます~♪

投稿者 Ken&なつママ : 2007年11月19日 20:21

Ken&なつママさん
コメントありがとうございます

さすが!!
スキンシップや規則正しい生活は基本的な対処になります。
そのへんを次回お話させていただきます。


投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年11月20日 10:32

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