Daily life of pet

2007年11月21日

認知症対策(担当獣医師 ブログ管理人Dr.X)

前回の続きです。
認知症の真の原因はまだわかっていませんが、
早期発見による生活習慣の改善、サプリメントの利用などで、
少しでもこの困った問題に「先手の対策」を行ってください。
老犬1.jpg

初めから、こんなことを言うのはどうかと思いますが、
認知症そのものを「治す」というのは不可能です。
どちらかというと、「付き合い方」を学ぶことになります。
また、子犬と違って老齢犬は対策一つ一つに対する反応が鈍いです。
とにかく早め早めの対策を心がけましょう。

①まずはその子のコンディションを考えましょう

老齢に伴い
  ・認知(見る、聞く、臭う、時間感覚、、、etc)能力が低下する
  ・基礎体力が低下する
  ・老齢に伴う疾患による痛みや不快感が出る

⇒ 安心度や快適度が低下する
⇒ 不安傾向や攻撃的傾向が増大する
ということが起きてきます。

まず初めに注目していきたいのは
「老齢に伴う疾患による痛みや不快感」
です。
歯痛、腎不全、ホルモンの異常、心臓病、腫瘍、神経病 などなど
が、下地にあって不快感や痛みから「認知症的」な症状を示していることがあります。
これは、十分対策できる余地のある問題です。
まず、ここをしっかり調べておきましょう。
もし疾患が発見されれば治療をしっかりやってあげることで、不安や不快を軽減することが期待できます。

②生活習慣を考えましょう
早い段階から生活習慣をコントロールしていけば、認知症の症状を緩和できるかもしれません。

●歩行が可能ならば、外界の刺激と歩行機能維持のため、できる限り散歩させてください。毎日定時に行うことが大切です。

●晴れている日は、できる限り日光浴をさせます。日光には体内時計を調節する効果があります。ただし、熱射病などには十分注意してください。

●スキンシップを大切にしてください。認知症犬の多くは、視力、聴力が極度に低下していますが、触覚はしっかり残っていることが多くあります。頭、顔、頚部、背中などのスキンシップで確認させてあげてください。常に触る場所の順番を一定にしておき、必ず同一手順でスキンシップしてください。

●認識能力が低下しているので、毎日のスケジュールは単純化してメリハリをつけ「昼は昼らしく、夜は夜らしく」します。上記の管理(散歩、日光浴、スキンシップ)はできるだけ定時に行うようにしてください。

●食餌は食べているようで、うまく食べられていないことがありますので、注意してください。老齢権は脱水状態になりやすいので水の飲む量にも十分注意が必要です。(飲んでいるようで、ほとんどこぼしていることがあります)

●体温調節機能が低下しているため、気温の管理には十分注意してください。

●視覚、聴覚が低下していますので、突然触ったりすると反射的に咬みつくことがあります。攻撃性が出たのではありません。その子に近づく方向をなるだけ一定にして、ご自身がその子に認識されてからスキンシップをとるようにしてください。

老犬2.jpg

③夜鳴きの対策
●まず可能なかぎり夜は「鳴き声が漏れにくい」場所を確保したほうがよいでしょう。もちろん上記のように体温調節などがうまくいかない動物なので、気温、湿度は十分に考慮した場所とします。手間と場合によってはコストもかかりますが、大きな効果のある治療がなかなかない中で緊急避難としてはやむをえないと思われます。場合によっては「家の玄関側に居た子を裏側にする」だけでご近所や飼い主様自身のストレスを減らすことができたケースがあります。柔軟に考えていきましょう。

●夜鳴きについて「睡眠薬」を希望されるケースが多いですが、人で扱われているいわゆる睡眠薬は「睡眠導入薬」です。効果としては2~3時間とお考えください。覚醒時期に錯乱されるケースもあります。長期間作用の薬もありますが、この場合は次の日の日中までふらつきが残るケースもあります。また内服薬の場合はその子によって効果の出方が様々で、なかなか適当な薬の量を算定できません。という理由で、睡眠薬の助けを借りるのは最後の手段と考えていただいたほうがいいかもしれません。

●日本では明らかに日本犬(柴犬がもっとも多い)および日本系雑種に認知症が多く見られます。前述の犬で認知症を発症している老齢犬では、血液中の脂肪酸(EPAやDHA)が発症していない老齢犬とくらべて明らかに減少しています。しくみはよく分かっていませんが、そういった目的で開発された犬用のサプリメントを早期から給与することで症状の抑制がみられるかもしれません。

●その他、不安傾向を改善する向精神薬も利用可能です。

不安薬.JPG

④その他の対策
●症状の進んだ犬は、角があるスペースではそこに引っかかってしまい身動きがとれなくなることがあります。飼育スペースに角がないように「お風呂マット」などで丸くするのがいいかもしれません。

●認知症の犬は上にもお話したように、視覚、聴覚などが極度に低下しても、触覚だけは過敏になって、今まで以上に皮膚に敏感になることがあります。排泄物等で体が汚れると鳴きだします。清潔にするよう心掛けてください。

●上でも話をしましたが、柴犬などの日本犬は高確率で認知症を発症します。②の生活習慣などは若いうちから心がけていったほうがいいでしょう。

はっきりとした認知症の症状が出始めた犬の余命は残念ながら半年ぐらいといわれています。
その子に応じた対策は多種多様で、ブログ上ですべてご説明しきれるものではありません。
少しでも認知症の兆候がみられたら、家族の皆様が「追い込まれる」前に獣医師にご相談ください。

このブログが認知症の早期発見と、幸せな「最後」のお手伝いになればと思います。

投稿者 yoshidaac : 2007年11月21日 10:25

コメント

こんにちは。

外界との接触で刺激を与えたり,
同一手順でスキンシップをとったり・・・
と,若い間にできることがたくさんあるのですね。
大変参考になりました。

我が家も実家も飼っているのは柴犬ですので,
認知症のリスクは高いということですね。
気をつけて,毎日を送らねば。。。

うちの暴れん坊柴,おかげさまで,
毎日の散歩と休日の山歩きは元気いっぱいですので,
しっかりと運動をさせたいと思います。
(怪我をしたのが家のすぐ外だったためか,
玄関先での日光浴は怖いようで,嫌がります;笑)

投稿者 ももんが : 2007年11月23日 12:14

ももんがさん
コメントありがとうございます

お元気そうでなによりです!
スキンシップや生活習慣改善は
老齢犬に限ったことではありません。
若い子にもスキンシップや規則正しい生活は必要です。
もちろん、肩肘はってやる必要はないと思います。
大切な「家族」との接し方を少し考えるだけでいいと思います。
また、自分にとっても
夜昼ない不規則な生活や、
家族との時間がしっかりとれないなど
考えさせられる話でもあります(^^ゞ

私の古くからの親友に偶然このブログの話をしたところ
次のようなコメントをいただきました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
時間の管理やスキンシップなどは認知症に限らないやろうし、
なんか認知症によって、
忘れてた当たり前の事を思い出させてくれる
「大切な贈り物」の様に思えるねんなぁ。

投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年11月24日 11:33

こんにちは。はじめまして。

うちの13歳のビーグル(オス)が、
11月ごろから夜鳴きを始めてしまい、
いろいろ調べていたらこのブログに行き着きました。

今年の夏は元気一杯だったのですが、
寒くなってきたあたりから
急にヨボヨボになってきたような感じです。

いつもは両親が散歩や世話をしていて、
私は仕事で遅いので、
ほとんど顔を見るだけの毎日なのですが、
やっぱり年をとったなあと思います。

毛が抜けたり、目やにが出たり、耳が遠くなったり、
皮膚にイボが出来たりしています。
獣医さんに見せたところ、老化による
ドライアイだったりイボだったりだそうです。

夜鳴き対策としては
かつお節とDHAのサプリメントを与えています。
始めて2週間くらいですが、
少し夜鳴きが収まってきて
昼間元気が出てきているそうです。
でも、ここ2日くらい、また夜鳴きを少しするようになってしまいました。
夕べも12時半くらいと朝4時くらいに鳴きました。
12時半のときは私が外の犬の所に行って
抱いたり、少し散歩させてうんちさせてから
また寝かせました。

うちの犬はどうやら眠ったまま
夜鳴きをしているようなのです。
小屋の中にかまくら型のベッドをおいて
そこにすっぽり入って眠るのですが、
中に入ったままあおん、あおんと単調に鳴きます。
名前を呼んでかまくらをめくって体を触って起こすと、
きょとんとして顔を出します。
そしてまた丸くなって眠ってしまいます。

犬を飼うのは始めてなのですが、
かわいそうでたまりません。
昼はなるべく寝せないように、
知育のおもちゃを使って脳を活性化させるように、
体を触ってあげてスキンシップをとったり
なるべくちょこちょこ話しかけてあげたりするように
両親にはお願いしてやってもらっています。
うちの犬は若い頃首のヘルニアになりかけて、
2ヶ月間毎日レーザー治療をして
命拾いをしたことがあり、最後は認知症なんかではなく死なせてあげたいです。

いろんな方のブログやサイトを見ましたが、
今も涙がこぼれそうです。
先生のようなブログはとっても心強いです。
ながながとすみませんでした。

投稿者 たかりん : 2007年12月27日 11:09

たかりんさん
コメントありがとうございます

生き物と生活して一番辛いのは別れですね。
死因というのは自分で選べないものです。
認知症になられたのなら
それも含めて全てを大きく包み込んであげてください。
そして「できること」を粛々とやってあげることです。
残された時間がたかりんさんの
悲しい顔より
笑顔に包まれてた方が
その子も幸せだと思いますよ(^^)

認知症のお世話は体に無理がかかるものです。
飼い主様あってのペットです。
どんどん獣医師などに相談して、
お体を壊されないようにご自愛ください。

投稿者 ブログ管理人Dr.X : 2007年12月27日 11:41

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